面接
昨日は大阪に居た。
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転職のための面接、一社目。
面接自体は好感触だと感じた。
しかし持ち物に書かれていた電卓は使うことがなかった。
予定しておりました試験は無くなりました。結果はメールでお伝えします。
と言われた。
どん底に落とされた気分だった。
何がいけなかったのだろう。
十人くらいの小さなベンチャー企業で、今日の面接官はお洒落な丸眼鏡をした三十代と見られる男性だった。
彼は代表取締役らしい。
代表取締役に面接をして頂けたのなら、もう結果は決まっているも同然のはずだ。
早く答えを出して欲しい。
あそこで働きたい、という強い願いはある。
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その後、一度家に帰り、また梅田へと出た。
たっちょんと会っていた。
二人の会話はインスタグラムのストーリーで結婚式の様子を載せるみやこさんの話で持ちきりだった。
噂によると新郎さんは年収2000万超えの超大企業にお勤めらしい。顔もハンサムで、すごく優しそうな笑顔が特徴である。
みやこさんは美人で気さくでだれにも媚びず自分の芯を貫く素晴らしい女性である。
グアムでの挙式はさぞ素晴らしかったであろう。
二人の晴れ姿を見ながらたっちょんと何度も羨ましいと言った。
二人は見るからにお似合いだった。
私はみやこさんのことしか知らないし、勤務期間がすごくかぶっていたというわけでもない。
しかし二人はお似合いだとわかったし、輝かしい二人が本当に羨ましかった。
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私も彼と結婚すると思っていた。
実際周りにもそう伝えていた。
しかし実際は違った。
結婚はゴールじゃない。
それはわかっているのだが、二人が永遠に共にいることを誓い、支え合う、ということが羨ましいのだ。
私は彼と永遠に共にいる気がしたのだ。
彼も実際そう感じていた事だろう。
一時は。
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彼が引っ越してから5日目になる。
今は事情があって実家で寝ている。
それもあってか心境は穏やかである。
鍵を無くしたときに連絡が来たくらいしかコンタクトはとっていない。
何だかんだ彼がいなくても大丈夫そうなのだ。
本当に大丈夫そうなのだ。
彼のことを好きかと尋ねられると実際本当にわからないというのが答えである。
前も述べたかと思うが、私のことを特別だと思って欲しい気持ちはある。
しかし、よりを戻したいかと言われると本当にわからない。
それに、私がみっともなくSNSでこれ見よがしに発信している間、彼からの発信はない。
お子ちゃまは私だけである。
きっと彼は私がいない生活を十二分に満喫している事だろう。
そしてこれでよかったのだ、と実感している頃だろう。
もしかしたら他の女をもうすでに見つけている頃かもしれない。
恋愛に発信しなくてもセックスくらいは楽しんでいるかもしれない。
考えるだけ無駄である。そんなこと本人にしかわからないのだ。
私に出来ることはみっともない発信をやめるくらいだ。
わたしを見て、の主張は彼には届かない。
その後
そして、2日。
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あれからもう2日が経った。
昨日は大学の後輩主催のライブがあった。
あきひさんに誘われた。
OB,OGはアウェイだったが暇すぎたので行くことにした。
みんな輝いていて、ひろやとあきひさんと私たちは老けたという話をした。
厳密にいうと、私たちは老化をしたわけではない。
運動する量が極端に減ったかもしれないし、それが故に体力は落ちたかもしれないが、ステージで輝く後輩たちのような輝きを、まぶしい、と感じてしまうのはそれが原因故ではない。
私たちがいつの間にか 諦める ことを覚えてしまったからだろう。
当時の私たちは、夜更かしすることですら楽しかった。
チェーンがかかった柵を足を上げて越えることは近道するのに不可欠だった。
友人と夜の公園で安い缶ビール片手にこれからの将来に対する不安をつらつらと話すことも楽しかった。
それを自分自身のことを老けたと思い込み、諦め、ときめかなくなった。
そして、日常と呼ばれる変哲もない日々を選び、自分にとっての非日常を楽しむ彼らを、自分も昔はそうだった、などとあたかも自分が大人になったかのように言うのだ。
それはただ羨ましいだけだ。
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彼と暮らし始めて半年を経った頃から頻繁に考えるようになったのは、彼に対してドキドキしなくなった、ということである。
彼と交際し始めたころは会えるだけで胸が高鳴ったし、体が少しでも触れようなら意識して色んなことを考えてしまっていた。
それがもうなくなり、これは熟練夫婦のようだ、と感じるようになった。
それは安心である。素晴らしいことだ。
彼がいれば何だって乗り越えられる気がしたし、彼がいない生活を考えることもなかった。
何だって話せたし、なんだって見せることができた。
友人でだってそんな人はいない。
つらい時につらいと伝え、胸を借りて大泣きすることができた。
うれしいことがあれば一番に彼に伝えるために文字を打っていた。
だが、ふとそんなことを考え出すと不安ばかりが能内に残った。
このまま一緒にいて何が楽しいのだろう、と。
否、楽しい。楽しいのだが、これで良いのかと思うようになった。
長い年月を共に過ごすことができたからというのは理解できているのだが、何かもやもやしたものがずっと残っていた。
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あれから、彼がいなくなった部屋に帰っても何も思わなかった。
泣かなかった。
普通に眠れた。
そんな自分が少し寂しかった。
もっと、想像していたようにぽろぽろと泣いてほしかったし、夜一人で眠れずNetflixを漁っていてほしかった。
確かに眠れず、夜更かしもしたしNetflixを漁ってはいたが、期待した寂しさは感じられなかった。
いなくなったら、いなくなっただけだった。
用があって連絡しても2時間以上返信がなくてもやもやしたが、生活は普通にできた。
そもそも1人暮らしをするつもりだったのだから、原点に戻っただけであった。
なんだかあっけなかった。
彼への不平不満はいくらでも出る。でもそれはただ私が強がっているだけだ。
私を残し新生活へ一歩踏み出した彼に嫉妬しているだけだ。
残された私の将来が不安なだけだった。
なんだか普通にやっていけそうだ。
1か月もしたら生活に慣れていたのだろう、と思っていたが、そんなに時間はかからなさそうだった。
むしろ彼がいなくなってから、5分で終わるようなものだが料理をするようになったし、リビングで毎回寝るようになったが布団は毎度起きたらちゃんとたたんで別の部屋へ片づけるようになった。
面倒な皿洗いもする。
確かに今は世間一般でいうニートな為時間が有り余っている。
だからできていることも多いが、元から私は一人だとある程度できる人間だったと思いだした。
友人、家族、恋人など頼れる人には頼る、これが私の悪いところだった。
だから彼は私との生活に不満がたまっていったのだ。
一人の生活も楽しい。
好きな時間にご飯は食べられるし、量も調節できる。
好きな時間に眠ることができるし、Netflixを少し大きい音量で観ていても誰にもとがめられない。
なんと自由な生活なのだろう。
だが、こんなことはきっと私なんかより彼のほうが実感しているに違いない。
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昨日家の鍵をなくした。もう夜中だった。
どうしよう、と考え不安でいっぱいだった。
その気持ちをSNSで発信したが、それは主に彼に向けられたものだった。
Twitterなんて最近裏垢しかつぶやいていないのに、彼もフォローしている方のアカウントでつぶやいた。
なんと女々しい、女なんだろう。
案の定連絡が来た。
そのころには落ち着いていたし、電車なんて通っていない時間だった。
だが、満足だった。
そっけない態度で返事をした。
最低な態度だった。
正直、よりを戻したいかはわらなかったが、彼にとって特別な存在であり続けたい、ことが明確になった。
私はこういう女だった。
いつだって彼にとって私は気になる存在で、助けたい存在で、愛している存在でありたかった。
最早執着である。
連絡は私で止めた。
彼が私の文章を読んで、別にあなたの助けはいりません、と感じてくれればそれが最高た。
いつから私はこうなってしまったんだろう。
恐らく彼がカギをなくしたつぶやいても私は連絡はしないだろう。
そんな時でも彼から連絡がくるのを待つ。
わかっている。これが通用するのは彼が私を愛している期間だけだ。
もうすぐ終わる。
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明日、朝から面接が2つある。
一つは南森町、一つは守口。
彼の勤める堺筋本町は目と鼻の先である。
さようなら
今日、引越しの日。
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昨日の夜、リビングで寝た。
もうラグも丸められて、無造作に詰められた段ボールを横目に見ながら寝た。
最後の最後にまっすぐ帰ってきてくれなかった事に腹を立てていた。
本当にこの日が来るとは思っていなかった。
怒涛の三週間だった。
何度も眠れない夜を過ごしたし
何度も泣いた。
三週間は短すぎたけれど、長すぎもした。
寂しさを紛らわせる為に分けた寝室もいつのまにか一緒になっていたし
話したくないと無視していたのにいつのまにかまた笑っていた。
隠そうと躍起だった恋心もいつのまにか隠していなかった。
あと数日、って言う時にキスをしたし、セックスもした。
セックスをした時は、特に何も感じなかったから意外と大丈夫かと思ったけれど、わたしの中では感情を伝えるには性行為よりフレンチキスの方が有効だった。
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昨晩、夜中に帰ってきた彼に抱きしめられ、
世界で一番好きだった
と涙ぐみながら呟かれた時、心がスッと冷めた気がした。
この最後にそんなことを言う無神経さ、この3年間が終わるという絶望、何より語尾が過去形である事に現実をつけつけられた気がした。
私のこと何度も裏切ってきたくせに、ずっと私を好きで、でも女の影は常にあった。
そんな彼が、本当に次へ進もうとしていることが感じられた。
こうしたのは私なのに。
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大学時代の約2年間、付き合って別れて付き合ってを数回繰り返し、
一年前の春、一緒に暮らす事になった。
そして同棲が始まって一ヶ月もしないうちに同棲前、浮気していた事が発覚した。
泣いてせがまれて、彼にとって一番辛い事である、別れを選んだ。
でもずっと一緒に暮らしていた。
いつのまにか許していた。
いや、許してはいなかった。今も。
だけどまた付き合って、夏から秋になるくらい、また別れた。価値観の違いで。
だけどまた付き合って、幸せに暮らしているはずだった。
でも、ずっと、いつか別れを告げられることはなんとなくわかっていた。
いつからだろう、彼の携帯を見ることが常習化してしまったのは。
女の勘とは素晴らしいもので、本当に、何か怪しいという嫌な予感がするのだ。
そんな時携帯を見ると必ず何か悪い知らせを得る。
問い詰めた時もあったが、見て見ぬ振りをした時もあった。
そして、今日からちょうど三週間前の土曜日。
離れて暮らしたい、と告げられたのだ。
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去年の3/3、私たちはこの街に引っ越してきた。
そして、今年の3/2、彼は一人で引っ越していった。
ちょうど一年だった。
あまりにもドラマチックすぎる。
でも、私たち二人がちゃんと別れられるのは初めてだ。
今まで別れたとは言え、大学に行けば会ってしまうし、その後だって家に帰れば居た。
今回は、別れと同時に物理的な距離が初めて出来る。
3/10にはOBライブがあるけれど、私はお世話になった方の結婚式の二次会にお呼ばれしているため行けない。
そうなると、本当に会う機会というのはなくなる。
卒業ライブが3/17にあるが、その時私のバイトが始まっていれば行けない可能性が高い。
それに、同期がおそらくたくさんいるし、話すタイミングは無いだろう。
いや、私が作らない、だろう。
目も合わさないし、話しかけられようもんならそっけない態度を取ってしまうだろう。
一番最初、付き合い始めた頃に逆戻りである。
彼は、別れるのではなく距離を置きたい、と言った。
それを私が、ここまで一緒にいて同棲もして、距離を置いたとしてまた一緒に暮らせるのか?と言った。それなら別れよう、と言ったのは、紛れもなく、私だった。
別れると決まった後も、彼は、戻れるなら戻ろう、と言った。無神経だと思った。
自分はこの家を勝手に出て行って、初期費用などでお金がどれだけかかろうと、ある程度のワクワクした生活が待っている。
だが私はこの家でしばらく暮らすしか無い。どこを見ても思い出に溢れ、広すぎる部屋は虚しさを感じさせる。
これは余談だが、一年かかってやっと終わったところなのに、今からってところで居なくなるし、仕事も辞めて不安で仕方ない時に居なくなるし、わたしは本当に踏んだり蹴ったり、という感じだ。
こんな時に居なくなってしまうなんて、人の心がない男だ。
私が支えてあげられるのも、支えてほしいのも、今なのに。
約2年間のお付き合いと約1年間の同棲生活は、たった三週間で決着がついてしまった。
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今朝、私を抱きしめてから家を出た彼は一度実家に戻り、レンタカーを借りに行って、11時前にお手伝いのいとこを連れて帰ってきた。
本当は10:30にはカフェに向かって出ているつもりだった。
今日は一度も目を合わせることなく、会話することなく終えるつもりだった。
その方が彼の記憶に切なく残ると思ったからだ。
最後までしつこいやつだ、私は。
でも少し寝すぎてしまって、出る準備をしている時に彼は帰ってきた。
言葉を交わしてしまった。
去年の誕生日に買ってもらった時計は返そうとリビングの段ボールの中に入れた。
だが彼はそれを見て、これは君のだ、と言った。
そういうことではないんだ。そういうことではない。
私は無視して家を出た。
初めて会ういとこは、玄関で立っていた。
恐らく前に私が引っ越しの際誰も家に入って欲しくない、と言ったからだろう。
私は出来る限りふつうの挨拶をして、寒いのにすいません、どうぞ中へ、と言った。
いとこは、気を遣わせてすいません、今後とも彼と仲良くしてやって下さい、と言った。
はい、とは言わなかった。笑ってごまかした。
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約1時間、カフェで過ごし、連絡もない為そろそろもういいかと思い家に帰った。
そこで私は家の鍵を持って出ずにいた事に気付いた。
最悪だ。
彼に電話すると、まだ搬出が全部終わってないから戻って来るらしいが、1時間以上は帰って来なさそうだった。
仕方ないのでさっきまで居たカフェにまた戻った。
優しそうな店員さんは私を見て、お忘れ物ですか?と聞いた。
いや、もう少し居させてもらっていいですか?
と答えた私はやけに惨めだった。
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それから約2時間。音沙汰なし。
出来るだけコンタクトを取らずに別れ、思い出でいっぱいの空っぽの家に戻って一人メソメソ泣くつもりだったのに。
でもそんな2時間もNetflixと、このブログの記事を書く事で退屈する事なく過ぎた。
ずっとマイヘアを流していて、ふとそちらの歌詞に耳を傾けると、グッバイマイマリーの
合鍵で開けても 君はいなかった
と椎木さんが歌っていた。
あまりにもタイミングがよくて、またまたドラマチックすぎる!と思った。
いや、私の言うドラマチックは、あまりにも悲劇すぎる!の間違いだった。
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もうすぐ3時になる。
普段の休みに比べて少し早起きだったから1日がすごく長い。
あんなにも休みが欲しかったのに、あるとなるとすごつ辛い。
何かを始めたいと思ってブログを開設した。
誰に見てもらう、という訳でもないけれど、私のポエマー気質を発散するには恐らく最適である。
彼だけがフォロワーのインスタグラムのアカウントがあるが、3週間前にブロックしてしまった。
二人の思い出が載っているアカウントだ。
こんな輝くあの頃の思いを見るのは私だけでいい。
それ以外にも二人の思い出を書いた日記もリビングの小窓に飾ってある。
最近、それを見返してその後思っている事を書いた。
ほぼ彼への八つ当たりだった。
彼は読んでしまっただろうか。
私の虚しい遠吠えを。
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昨晩、彼に夕飯を作った。
本当は適当なものにしようとしたが、ふと
オムライスは負けちゃうな~
と言っていた事を思い出してしまい、夜な夜な最後の夕飯を作った。
帰ってきた彼は、Netflixを見ながら洗濯物を畳む私を横目に
美味しい
と呟いていた。
聞いていないふりをした。